2025/04/13 15:59

5回目となる「朔」の米づくり・酒づくりが始まります


農家の、醸造家の、その顔が浮かぶ酒


ひとつの田んぼで、ひとりの農家は、変動する気候の中で、与えられた地の利を最大限に活かし、自然と対話しながら、米を育て上げる。

その米を受け取った醸造家は、米を麹に変え、自然界の乳酸菌とともに酒の母をつくり、ひとつのタンクでそれを酒に育て上げる。

そのプロセスが、定期的にInstagramでレポートされ、酒ができていく様子を見守る。そうして「つくった人の顔が浮かぶ酒」が手元に届く、そんな10か月の体験プログラムが「朔」です。このたび、2025年醸造年度(2025BY)の予約販売をスタートしました。この記事を読んでいただいた方と、ぜひご一緒したいと願っています。興味を持っていただいた方は、以下をご覧いただき、もしいいなと思っていただけたら、お申込みをご検討ください(年に3回・3本届く通常プランと、年に4回・4本と酒器と食材が届くプレミアムプランがあります)。

通常プランはこちら:https://newmoon04.base.shop/items/100435483

プレミアムプランはこちら:https://newmoon04.base.shop/items/100398028



この春に届く「朔 2024BY」のご紹介


上記のプランは、2026年にボトリングされる「朔 2025BY」ができていくまでのプロセスを楽しむものですが、お申込みいただくと、「朔 2024BY 生酒」をまずお届けします。


「朔」四代目となる「朔 2024BY」は、これまでのスペック(①純米、②大吟醸、③生酛づくり、④シングルオリジン)を踏襲しています。しかし、農家の藤本圭一朗さんが「こんな暑い年は経験が無い」というくらい、2024年は温暖な気候となり、酒米の生育環境は例年以上に厳しくなりました。それでも藤本さんは、それまでの経験と卓越した生育技術をいかんなく発揮し、確かな品質の山田錦を育ててくれました。また、醸造家・稲岡敬之さんは、ただでさえ難易度の高い生酛の酒づくりを、今年も素晴らしいクオリティで仕上げていただきました。


両名のおかげで、「朔 2024BY」も例年に劣らぬ出来栄えの酒となりました。つめたく冷やすと大吟醸の華やかさが、少しあたためると生酛づくりの複雑な旨味がじわりと広がり、奥行きを感じさせます。凛とした酒質の中に、豊かな旨味の層が折り重なり、静かに力強い余韻を残します。


ボトルの基本デザインも前年を踏襲し、円窓からボトル裏の月を眺める仕様になっています。今年はラベルカラーに「赤金(あかきん)」を採用。二十四節気のひとつ「啓蟄」に着想を得た、播磨の豊かな土のイメージと華やかさが同居する色です。赤金は、古来より装飾品や象嵌など伝統工芸にも用いられてきた色彩。その色を帯びたラベルは和紙の質感を持ち、遠目には落ち着いた茶褐色ながら、近づけば鈍い光を宿す奥深い表情を見せます。




四季の移ろいを酒とともに感じる

春に、シャキッとした苗が続々と田んぼに沈み、夏は、鏡のような水面に空模様が映し出されます。やがて秋、黄金色に波打つ稲穂が実り、冬、その米が酒へと生まれ変わります。春から冬へ、約十カ月にもおよぶこの風景の移ろいをを静かに見守ること。それは、日常にひそむ美しさに気づく行為でもあります。

実際、田んぼを訪れ、風に吹かれながら畦道を歩いていると、写真家ソール・ライターの作品に触れたときと同じような感覚になることがあります。ソール・ライターは、雨ににじむ街角や窓越しにそっと垣間見る風景など、曖昧さと余白を愛でるように日常の一瞬を切り取った写真家です。その作品に垣間見える、何気ない情景に宿る美しさを、私たちは田んぼでも感じます。

苗が稲になり、米が酒になる10か月を、みなさんとご一緒したいと願っています。


株式会社みたて
庄司 英生